パーマネント野ばら
最近なんだか淋しい
淋しさには波があって、時々こうやって飲み込まれそうになる
胸を掻きむしりたくなるようなザワザワとした寂しいさが苦しい
一人の時にあえて声に出して言ってみる
さびしい、さびしい、さびしい
何度も言ってるとだんだんはっきりした声になりテンションも高くなる
涙が出る
泣きながら唸りのたうちまわる
その流れが一通り終ると、少し静かな気持ちになる
ため息をつき一仕事終えたような顔をして、ソファに座りなおす
つきっぱなしのTVをなんとはなしに見てみるが面白くもなく、このままじゃダメになりそうなので、ここから脱出するために立ち上がりシャワーを浴びに行く
新宿にきた
一応目的がある
セミオーダーの靴を安く作れる店を友達に教えてもらったのだ
化粧品も買わなきゃいけなくて余りお金を使えないのに、結局黒のブーティを買ってしまった
昔から幅の細い足のせいで、靴は悩みの種だった
だから、なんて理由を付けて買い物したかっただけなのだけど
カフェに入った
ハワイを意識した店の作り
デニッシュに生クリームとフルーツを乗せアイスを添えた、やたら甘そうなものを頼む
かかっている音楽が趣味の良いヒップホップやR&Bやらで刹那的な気持ちになる
周りを見渡すと女の子しかいない
楽しく笑ってるこの子達も淋しい時があり、それをやり過ごして生きているんだなと不思議な気持ちになる
外にはどの店に入ろうか物色しながらウロウロしている女の子
その子供みたいなよちよちした歩き方を見ていると、ああして庇護したくなる気持ちを抱かせる態度をいつ彼女は獲得したんだろうかと思う
無意識なのか意識的なのか
何にしてもイメージとは逆の図太さを感じる
淋しいさはきっと一生付き合っていくんだろう
どんなに忙しくてもどんなに楽しいことが沢山あっても、たまらなくなる時は必ずくる
淋しさに食い潰されないようにするためには、いくつもの方法を手に入れることだ
目を逸らしやり過ごし、淋しくてもいいんだと自分の肩を抱く方法をなるたけ沢山
当たり前だけど生きてくのは苦して、歳をとればとるほど重い淋しさを感じることも増えてくる
でも方法はあるはず
それを探してる間に人生が終わってしまうかもだけど
淋しさで狂うかもだけど
浜辺で恋人の手を握っていたはずの彼女の手を開くと、そこには砂しかなかった
そのシーンを思い出すたびに胸が潰れそうになる